浅学非才

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趣味についての駄文をたまに書いてます。。

朗読劇「佐伯沙弥香について」を観劇してきました

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 2日目(30日)の昼の公演を観劇してきました。写真は場内のポスターの周りは撮影禁止の立て札があった気がした(?)ので外から見えるのを撮ったもの。(それならええやろ)

というわけで早速感想へ

未だに影響を与え続けている新型コロ助の影響もあって、本来予定されていた舞台やが君のアンコール上演の代替に「朗読劇」として上演されたのがこの「佐伯沙弥香について」。朗読劇と言われると所定の位置に演者さんが立っていて読みながらほんの少し動く、というのを想像していましたが、実際に観てみるとしっかりとしたセットを背景に上手から下手まで、舞台上からその段差の上まで動き回って演技をしていて、想定していた朗読劇よりかなり通常の舞台寄りで驚きました(笑)

しかし前述の社会情勢という背景もある中での上演でしたがこれが実は怪我の功名だったりしたのかもしれません。と言うのも、演技・演出の中での密を避ける、一定の距離・ソーシャルディスタンスをとるという制約が、直接的もしくは本質的にくっつけない、近づけない佐伯沙弥香の高校までの恋愛の絶妙な距離感の表現と合っていた気がしたからです。また個人的な話ではありますが、この状況下だからというのは一旦抜きに、昨年の舞台本編の公演時から上演を熱望していた「ささつ」が実際に上演されて観られたということは素直に喜んでおきたいものです。

 

 

と、ここまでは時事的な背景の面を含んだ話をしてしまいましたが、ここからは本編についても。

時系列通りに劇は進行していったので、はじめは小学校時代の水泳教室の話。沙弥香のモノローグでしたが、それだけにセリフがしっかりと年相応に、幼く演じられていたのが印象に残っています。

 

続いて中学校編。演技の付いた「ささつ」の柚木先輩を見られて良かったです。柚木役の七木さんはハマり役でしたね。その彼女の好演もあって柚木先輩の良くも悪くも裏表の無いところも当然活字以上に伝わってきましたし、それゆえに中学生の沙弥香の健気さであったりというところもより切なく感じられました。そしてそれを積み重ねての別れのシーンは小説でももちろん心にズシリと来るものでしたが、上記のことに加えて沙弥香の反応というのもこれもまた舞台なので当然直に伝わってくるわけでありまして、本当に息が苦しくなるような重みが残りましたね…

 

そして高校編へ。それまでに舞台でもしっかりと描かれた小学校、中学校時代を踏まえた上での高校入学後の物語ということで、そういった過去を通して佐伯沙弥香という人間が形作られていったということをまた強く感じさせられるものでした。しかしそうしてこの劇では3世代の沙弥香が演じられたわけですが、公演時間は休憩込みでも2時間ちょっと。昨年の舞台以上に役者さんってすごい!と改めて思わされました。

またこの高校編では沙弥香から燈子への告白シーンがありますが、ここが小説の「ささつ」より原作の該当エピソードベースで作られていたので「ささつ」をより贅沢に楽しめましたし、何よりも前述の「絶妙な距離感」が最大限に活きたシーンでもあったと思うのでこの劇の中でそのような形で観られて良かったです。

あと専任の役ではなくアンサンブルでしたが、まなみどのわちゃわちゃ感がかなり再現度高かったのも印象に残っています。丸茂さん、内田さんには来年のEncoreでもまたあの2人を演じていただきたいですね。

さいごに

と、十分に堪能させていただいたわけですが、今回このような状況の中でEncoreは持ち越しとなった上で「ささつ」を上演して下さった役者・スタッフの皆さんには感謝の気持ちしかありません。また無事に千穐楽まで上演することができたようで本当に良かったです。

そして去年から楽しみにしていたアンコール上演もこの「ささつ」でもっと楽しみになりました。今度こそは万全の状態で上演されることも願いながら…

 

 

あとそれから、「ささつ」3巻も観たいですよねぇ… 沙弥香が幸せになるところまで今度はこれも「舞台」として観たい!